Category Archives: 映画

クラッシュ

crush.jpgクラッシュ

ロスを舞台にした群像劇。
最初は人種差別が中心かと思ったけど、
全体を通してみるとどうやらそうではない。
人と人は互いにぶつかり合い、
時には傷つけ、時には傷つけられる。
でもそんな中で気付く、優しさ、愛もある。
日常の生活でもそんな場面はある。
なので一つ一つのストーリーは特に目新しさもないが、
それを上手く組み合わせる事で骨太の群像劇に仕上げている。
群像劇というものは幾つもの視点があるから、
その数だけ異なった感情が持てる。
誰に感情移入するかも見る人それぞれだろう。
そこが群像劇の面白い部分の一つだと思う。

ホテル・ルワンダ

hotelrwanda.jpgホテル・ルワンダ

ルワンダ紛争中に、
実際にあった話を元にした映画。
何よりも衝撃的だったのが、
100日で100万人近い人間が虐殺された事件を
僕は全く知らなかった事。
虐殺が起きたのは1994年。
僕は当時中学か、高校か。
でもそんな事件があった事なんて全く記憶に無い。
映画の中でカメラマンの台詞が印象的だった。
「虐殺の映像を見せた所で、
西欧人は『怖い』と言うだけでまたディナーを続けるのだ」と。
この映画も初公開は2004年だが、
日本での公開は当初興行的に採算が合わないということで
配給会社の買い手がつかなかったらしい。
その後、「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」の活動により、
日本でも公開されることとなったと言う。
僕らにも同様、結局は遠い空の下の出来事か。
確かに僕もこの映画の西欧人と同様に、
この事件を知っても飲み行ったり普段通りライブ行ったり、
何も変わらない暮らしを続けている。
だけどそう悟った振りをして終わって良いのだろうか?
この映画を観て何か感じる事はできる。
世の中の為に何ができるのか考える事はできる。
僕はこの映画を観れて本当に良かったと思ってる。

シン・シティ

sincity.jpgシン・シティ

コミックの映画化は大概面白く無いのだけど、
(それでも見てしまうが…)
シン・シティは良い意味で予想を裏切られた。
映像が奇抜なだけの映画かと思ってたのだが、
ストーリーも面白い。
バイオレンスたっぷりで
人を殺しまくるアンチヒーローも、
カッコいいと思ってしまう。
オムニバス形式だが、
基本的に各話で深く繋がる事はない。
でもそんなのどうでも良いじゃないか。
一話一話が面白ければ。
そんな感じで単純に楽しめる。
原作の世界観を忠実に再現する為に
モノクロ映像にしたらしいけど、
そのせいか映画と言うよりアメコミを見てる気分だった。
原作のコミックもどんなものか一度見てみたい。
後、個人的には
殺人鬼役のイライジャ・ウッドがウケた。
最初全く気付かなかったし…。

ミュンヘン

munich.jpgミュンヘン

一人の暗殺者が、やがて殺人の罪悪感に苛まれ、
自分も狙われてるんではないかと恐怖に怯え、
精神に異常を来して行く。
と、ありがちな話だが、
史実を元にしてるので重さが違う。
だが、この映画で重要なのは
”父親でもある一人の暗殺者”よりも、
彼を暗殺者たらしめた背景にあると思う。
テロに対する報復行為。
そしてその報復に対する、また報復。
復讐の連鎖。
今も昔も問題は変わってはいない。
”復讐では何も解決しない”
と誰もが分かっていながらもこの連鎖は途切れない。
そもそも国もあり、民族・宗教間の争いもない
平和な日本で育った僕らに、
彼らの気持ちが理解できるのだろうか?
彼らが争うのには様々な理由がある。
それをただ一言で簡単に否定してはいけない気がする。
暴力以外の解決法を見いだせないものか。
最後に映ったWTCが印象的だった。
この作品と9.11がダブった…。

タクシードライバー

タクシードライバータクシードライバー

いつか観ようと思ってる過去の名作は、
新しい作品の方を観てしまってなかなか観ないでいる。
やっとこさタクシードライバーを観た。
余韻を残す面白さ。
名作と言われるだけある。
<↓ややネタばれ…かな?>
一人の不眠症のタクシードライバーが社会と孤独に押しつぶされて、
最終的にイカれてしまう映画なのだが、
その刻々と変化する心情が僕にはよく理解できる。
退廃的な社会と孤独感。
この作品はもう30年以上前の作品になるのだが、
上の二つの言葉は現代の日本にも通じると思う。
それがこの作品を面白いと思う要素の一つ。
時々イカれた人達が事件を起こし世間を騒がすが、
そういう人とトラヴィスは共通する部分がある気がする。
トラヴィスの気持ちが分かる僕もイカれる可能性ありですね。
あと、見所は若かりし頃のデ・ニーロ。
それと13歳のセクシーなジョディ・フォスター。
そして最後にこの時代のアメリカの法律に疑問を持った。

誰も知らない

誰も知らない誰も知らない

いつか見ようと思ってた映画の一つ。
友達に薦められたのを機に観た。
「素じゃないのか?」ってくらい子供達の演技が自然。
子供達の無邪気さ、強さ、脆さ、弱さがストレートに伝わる。
殆ど子供達を中心に話は展開するが、
その世界に引き込まれてしまった。
実際あった事件を元にしてるのだけど、
監督はあえてフィクションに仕上げた。
それに関しては賛否両論だが、
僕はフィクションにして良かったと思う。
実際の事件はもっと殺伐として汚れていたと思う。
巣鴨子供置き去り事件
それに脚色、演出を加える事で
きれいにまとまった悲しいドラマを作り上げた。
平和ボケした僕らにはリアルで胸くそ悪い残酷な物語より
脚色された悲劇の主人公のドラマの方が受けがいい。
だからこの作品が多くの人の関心を引き、
沢山の人が目にする事になったのだと思う。
とにかく多くの大人にこういった事実を知ってもらうのならば、
事実をリアルに描写するよりフィクションにした方が効果あったと思う。
自分達の知らない所でこういう事件が起きている事実を知り、
この作品を通じて、実際に起きた事件を調べ本当の悲劇を知る。
そういう流れで事実と直面するのも一つの方法だと思う。
また好感のある人物像にした事で彼らに同情させられる。
どうしようもない母親でさえ、社会の被害者なのだと感じる。
(ただ、母親に関してはそこまで強く思えないが…)
タイトルの「誰も知らない」とは、
”気付かない”という意味の知らないだけでなく、
”無関心”、知らぬ存ぜぬの意味もあるのだと思う。
隣の家で人が死んでも気付かない。
それが冗談で言えなくなる世の中ってのはちょっと怖い事だ。
監督がどういう意図でフィクションに仕上げたかは分からないが、
僕の心に残る映画を作ってしまったようだ。
重たい映画をまた一つ見つけた。
で、元となった事件を読んでいろいろと考えてしまった。

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SPIRIT

spiritSPIRIT
ジェット・リーはこの作品を最後にアクション映画から身を引いた。
彼自身、「集大成にして、最後のマーシャル・アーツ作品」と語る。
ジェット・リーと改名しハリウッドに進出してからは、
個人的にはいまいちヒットは無かったけど今作は非常に良かった。
ワイヤーも最小限に抑え、極力体技のみで演出。
ワイヤー使いまくりの映画もエンターテイメントとしては良いけど、
こうした身体を張ってる映画の方が熱くなる。
見たかったのはこういうアクション。
そして、やっぱりジェット・リーは弁髪が似合う。
ちなみにこの話はノンフィクション。
この作品を最後に選んだジェット・リーの武術に対する思いが、
まさにここに込められてるのだと思う。
しかしもうジェット・リーのアクションが見れなくなるのは寂しい。
今後はトニー・ジャーに注目。

ダ・ヴィンチ・コード

周りからは不評のダ・ヴィンチ・コード。
取り敢えずどんなもんかと観て来た。
確かにこの作品は面白くない。
それが正直な感想。
僕は原作を読んだが、
原作は非常におもしろかった。
でも映画はいろんな部分がカットされており、
展開もテンポ良く進み過ぎで大雑把な感じがした。
原作のポリュームが大きいので、
それを映画の枠に収めようとすると仕方の無い事なのだろうが…。
でも、原作と脚本の違いといった点で見ると面白かった。
原作と映画だと大分違うものだ。
そう思うと他の作品の原作も気になる。
因に僕がダ・ヴィンチ・コードを好きな理由は
ストーリーよりも随所に出てくる
宗教、歴史、象徴などの解釈が面白いからだ。
以下、ダ・ヴィンチ・コードを読んで驚いた点
※ネタバレなのでここから先は自己責任で
・イエスが結婚していた。そして子供もいた
・ニュートン、ダ・ヴィンチ、ユゴーなど歴史上の人物が秘密結社の一員だった
・ルーブル美術館のピラミッドは666枚のガラスが使われている
・五芒星は金星に由来。金星は黄道上を五芒星を描いて移動
・オリンピックの公式マークが五芒星に決まりかけてた
・自然界の事物の構成の至る所に黄金比が見られる
・ダ・ヴィンチは同性愛者だった
・十三日の金曜はテンプル騎士団の虐殺に由来する
・イエスは投票により神になった
・福音書は捏造された
・ウォルト・ディズニーは聖杯物語のメッセージを自作に潜ませている
他にもいろいろあったが忘れた
ま、こんな具合にこの作品は色んなネタの宝庫なのである。
こういったのが好きな人は面白いと思うんだろうな。

ゴースト・ドッグ

3125c3a2.jpgゴースト・ドッグ
色々悩んでる時に、
友達が薦めてくれた作品。
ビデオ屋でこれを見つけた時に、
『何故にこれを薦める?』
と思ったが観て納得。
この作品のテーマとなっている”武士道”を
伝えたかったのだろう。
この作品自体が”武士道”を的確に捉えてるかと言えば、
ちょっとズレてる部分もあるが、
大抵、外国から見たら何かしら解釈が間違っているもんだ。
でも全体的なリズム感や間抜けな登場人物達は
個人的に好き。
さてさて、肝心の”武士道”についてなのだが、
その生き方、ものの捉え方、
確かに参考になる。
現代にも応用できる部分も多々ある。
でもこの映画を見ただけで”武士道”の全てが分かる訳ではないので、
今度時間がある時にでも”武士道”を掘り下げてみたいと思った。
この作品を観た最終的な結論。
ストイックな生き方ってカッコいいな。

イレイザーヘッド

eraserheadイレイザーヘッド
デヴィッド・リンチの処女作。
リンチの不条理ワールドが好きな人なら、
まず好きな作品だと思う。
マルホランド・ドライブ同様、
幾つもの意味ありげなシーン、
メタファーがあり、
ストーリーを知ろうと思えば何となくは分かる。
まあ、結局あれこれ考えても完全な結論は出ないんだけど。
でもこの作品は内容の解釈よりも
ありがちな日常を斬新な切り口で撮った部分に惹かれる。
正直、グロいし、気持ち悪いし、胸のあたりがムカムカする。
でも頭に焼き付いて離れないのは、
人間の心理を非常に巧みに表現しているからなのかな?
一回見た後は暫くは良いや、って思った。
多分、頭(もしくは心)が受け止めるので精一杯だったのだろう。
でも落ち着いてくると、
また見てみたいと思わせる不思議な作品。
ちなみにグロ系、難解系が嫌いな人にはお勧めしません。