おみおくりの作法

※ネタバレあり

自分はこの作品に2つの軸を感じた。

1つは「孤独死」。
本当に天涯孤独の人もいれば、身寄りはいるのだけど誰にも葬儀に参列してくれない人もいた。

自分は死んだら灰になるだけだと思ってるので、葬儀なんてしてもらえなくても良いと思ってる。その金があれば生きてる人が使えと。
とは言え「死」と最後の時にあって、誰にも見送ってもらえないことはやはり悲しい。自分の人生は何だったのかと思う。
死んだらそう思うこともないのだけど、最後に誰かに手を合わせてもらえるような人生を送れてるだろうか。死の間際において後悔しないように今をしっかり生きなければと思った。

もう1つは「仕事」。
ジョンの仕事は上司を始め、殆どの人に理解してもらえない。
故人のために誠意を持って行動するのだけど、おせっかいと言われることも。
ジョンの仕事は意味がないと思う人もいるし、実際に死んだ人に意思はないのだからそれが良いかなんて分からない。
それでも真摯に自分の仕事をまっとうするジョンの姿は、社会で働くものとしては尊敬に値する。几帳面に丁寧に仕事をこなす姿はとても素敵だと思った。

そしてジョンの仕事は故人のためだけではなく、故人の生を尊重して生きた証を残すための仕事だと気付いた。すべての人には届かないかも知れないが、それが意味を持つ人も少なからずいる。

しかし、そんな多くの孤独死を見てるジョン自身が孤独であることが切ない。そしてそこに一条の光が刺した時にあの出来事だ。

確かにラストでジョンは今までの行いが報われたかもしれない。
でもそれは死後の世界でだ。
死んだものにそれは意味があるのか?
それは冒頭から常に問われてたことであり、自分としてはやはり生前にその報いを受けて欲しかったなと思う。
自分の目にはこのラストが少し残酷に写った。