手紙
読み終えたのは結構前だけど、
東京タワー以来感動した作品だったので投稿しとく。
この作品は、犯罪の被害者の家族ではなく、
加害者の家族に焦点を当てている。
世間一般のニュースなどでは
被害者の家族の方ばかり焦点を当てられるが、
同じく加害者にも家族がいるのだ。
この作品を読むと、
加害者の家族もまた被害者なのだと思う。
犯罪に走った原因に家族が関与してるケースもあるので、
一概には言えないが…。
犯罪を犯したのは、あくまで身内であって
その人本人では無い。
頭では分かっていても、
どう接したら良いのか分からない。
まるで別の人種のように戸惑ってしまう。
今までそういう人に接した事が無いのだから、当然である。
そう言った部分がリアルに描かれている。
あからさまに蔑むのではなく、一つの壁を隔てた付き合い。
そっちの方がより残酷な気もする。
前にテレビの特番で
加害者の父親にインタビューをしたものがあった。
彼は事件後、職を追われ、
幾つもの場所を転々としながら
今は息子の事を隠しながら細々と暮らしていると話していた。
身内に犯罪者を持つ人が、
世の中にはどれ程多くいるのだろうか?
そしてその中のどれだけの人が
その事実を隠して生活しているのだろうか?
犯罪は非常に多くの人達を苦しめる。
いろいろと考えさせられる作品だ。
それでもこの作品が感動するのは、
弟を思う一途な想いが最後まで失われないからだろう。