ニュー・シネマ・パラダイス

学生の頃に観て以来、午前十時の映画祭での上映を機に再び鑑賞した。
名作としてよく聞く作品の一つだが、
昔はそこまでの面白さは感じられなかった。
でもあの頃より歳を取った今、この映画を観ると
当時は気付かなかった想いが幾つも浮かんできた。
大人になるほどこの映画の素晴らしさが分かってくるのだと思う。
映画館が舞台と言うだけで、
映画好きにはたまらない設定だ。
昔は映画はもっと大衆娯楽的であり
人々の生活の一部に根付いていたのだな。
映画館を通じてドラマの一つや二つあったのだろう。
今では味わえないそういう雰囲気も少し羨ましく思う。
※以下ネタバレあり
初めてこの作品を観た時は、
そういった映画館とトトとのような目線でしか観れなかった。
でも今の僕にはトトとアルフレードの関係を、
名傍役の様に映画が演出する。
そのように映った。
アルフレードはトトのよき友でありよき師であり父親でもあった。
彼の言動・行動はトトを想っての事であり、深い愛情に満ちていた。
トトが村を出て30年。
アルフレードの言いつけ通り、村の事は忘れそれなりに成功を収めてた。
そしてアルフレードの死をきっかけにトトは30年ぶりに村に帰ってくる。
そのタイミングで青春を過ごした映画館が取り壊される。
学生の頃に初恋の女性を撮ったフィルムを見返す。
そしてアルフレードから形見のフィルムを受け取る。
アルフレードの形見のフィルムには、カットしたキスシーンを繫ぎ合わせたものだった。
それは昔アルフレードが「代わりに預かっておく」と言ったトト少年に譲ったフィルムなのかも知れない。
違うかもしれないし、それは誰にも分からない。
ただ、いつ渡せるかも分からないのに
トトのためだけにアルフレードが再編集したのは間違いない。
これらの出来事は青年のトトに映画館やアルフレードとの日々を思い起こさせ、
またアルフレードの深い愛に気付かさせたのだろう。
そして青年のトトは仕事こそ上手く行ってるが、
村を出てから女性を愛することを止めてしまっていたようだ。
このキスシーンを繫ぎ合わせたフィルムもまたアルフレードからのメッセージなのかも知れない。
大事なことを見失っていないか?と、
死して尚トトに道を示そうとしてるのかなと感じた。
最後の映画を観て笑ったトトの表情が子供の頃の純粋な笑顔と同じだったのが印象的だった。

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